だから、待っていて下さい。とだけ告げて、寒空の下に消えていった貴方を、私は茫然と見送るしかなかった。
私は、貴方はきっとその気持ちが変わってしまうと思っていた。
どれだけ好きあっていても、遠くにいるというだけで別れ冷めていってしまうことは、知っていたから。
だから、一年後に見た、大学の正門前で両親と写真を撮る貴方の姿は、少なからず私を感動させた。
本当に、私を。
そう思いかけて、止める。
そんな淡い願いが叶う可能性は低すぎたから。だから
「先輩」
やっと会えましたと、穏やかに笑う貴方に、
私が惚れない筈がなかった。