3人は次の港で下ろされた。 「ところで君達これからどうするのかね?『奴隷』は街を自由に歩けませんよ?」 マクベスが先頭を歩きながら言ったその言葉にレイは一瞬緊張した。 「安心してください。奴隷を盗むのは犯罪ですが何か理由があったのでしょう。このことは秘密ということにしておきます」 マクベスはきれいに整えられた髭を触りながらどこか遠くを見ていた。 「知っていたんですね…」 レイはマクベスが全て知っていたことに驚いた。 「私は明日仕事があるのでいっしょについていくことはできません。ですが丁度この街には知り合いがいましてね明日の朝紹介しますよ。」 マクベスはそう言うとまた髭を触った。 次の日の朝3人はマクベスの知り合いがいるという工場に向かった。 煙がモクモクと立ち上る工場に入ると大勢の男達が仕事の手を休めやけに静かだった。 すると一人の男がバイオリンを持って木箱の上に立った。 しばらくするとバイオリンのきれいな音色が聞こえてきた。 むさ苦しく油臭い工場で顔を黒く汚した男達が気持ち良さそうにその音色を聞いている。どこか独特な雰囲気だ。 男はバイオリンを弾き終わると深々とおじぎをして木箱から飛び降りた。 「こんなとこで働いてないでバイオリン弾いて金もらえよ!」 一人の男がバイオリン弾きの男に言った。 「それもいいけど俺はここで汗かきながら働くのも好きなんだよ。」 そんな会話をしながらバイオリン弾きの男が近づいてきた。 「久しぶりだなマクベス!で、このガキどもが例の?」 バイオリン弾きの男はレイとリオをジロジロと観察するように見ている。 「あぁ、そうだよ。名前はレイとリオ、君に頼んでもいいかね?」 「おぅ!任せとけ!俺はノエル、よろしくな!」ノエルはレイとリオの手をとり握手した。 「この男は信用できる男です。バイオリンはもちろん剣の腕もたちます。それに彼自身元は『奴隷』でしたからね」 「そういうことだ!安心しろ!」男は腕を組みニコニコしていた。