君に送る言葉?

深山暁  2007-01-03投稿
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(よかった。)
浅岡がそう呟いた気がして、僕は目を逸らせなくなった。
すると、浅岡の方がちょっと恥ずかしそうに俯いた。
「先生!」
突然呼ばれて、我に帰ると、生徒全員がこっちを見ていた。
「な、なんだ?」
慌てて返事をすると、僕を呼んだ男子生徒が呆れた顔をした。
「チャイム鳴りましたけど…。」
僕がぼぅっとしている間に鳴っていたらしい。
「悪い。じゃあ、終わろう。」
素直に謝ったのに、
「しっかりしてくださいよ!」
そんな言葉が返ってきた。
「…。」
何も言い返せない自分が悲しい。
授業中なのに、僕は何をやってるんだ…。
この間から、どうも調子がおかしい。
軽い自己嫌悪に陥りながら廊下を歩いていると、
「先生!」
さっきの生徒が、後ろから小走りで向かって来る。
「…瀬崎か。なんだ?」
まだ何か言われるのだろうか…。
少し憂鬱な気分で聞いた。
しかし、瀬崎はバツの悪そうな顔をしたまま言った。
「さっきは、言い過ぎてしまって…すみませんでした。」
今日の事は、自分が全面的に悪かったため、謝られると困ってしまう。
「いや、僕が悪かったから…。」
僕がそう言うと、瀬崎は安心したように顔をあげた。
僕も少しほっとする。
…が、瀬崎の次の言葉に僕は固まってしまった。
「先生、浅岡の事見てましたよね?」
瀬崎はからかうような感じでもなく、さらっと言った。

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