剛留(たける)は高校入学時から、何かに苦労した記憶がない。 勉強は常に学年のトップクラスにランクインしていた。これと言って頑張ったワケではない。ただ普通にいい点をキープできた。
女に困ったこともない。
声をかけただけで着いてくる馬鹿な女達。可愛くメイクし、何でも買ってくれ、どんなエッチなことをしても怒らない。
彼女らの幸せそうな表情を潰すのはたわいもなかった。ふるのは、いつもこっちからだからだ。
悲しいという感情からは程遠いものだった。
スポーツも何でもできた。高校からは部活はバスケットボールにした。軽々とダンクをかまし、部員を驚かせた。
こんなダンクに、一体何の価値があるのだろう、バスケットボールはダンクが全てなわけないのに…。
退屈な日々。勝手に偉人扱いされる。回りの人間は誰一人逆らわない。
中学の頃の剛留は、今よりずっと輝いていた。
頭も普通で、あんまりもてなくて、何事にも喰らい付いていっていた。不細工な男だった。
でも、中学の頃の剛留は輝きに満ちていた