君に送る言葉?

深山暁  2007-01-06投稿
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「直人先生!」
入ってきた人物が、驚いたように言った。
「なんだ。早山先生…。」
僕は、少しがっかりした。
…がっかりした?
何で…。
「なんだ。って言う事はないでしょ。」
早山先生は笑って言った。
早山先生とは、年が近い事もあってお互い相談し合ったりできる友人のような関係だ。
「直人先生、それ。」
早山先生が、僕の口元を指差した。
「え?」
「タバコ。」
そう言われて、自分がタバコをくわえていることを思い出した。
「ぼけてないで下さいよ。入ってきたのが僕だからよかったけど、平川主任とかだったらその場で説教始まりますよ。」
平川主任の眉間にしわを寄せた厳しい顔が鮮明に浮かんできて、僕は苦笑いした。
「さては、いつもここで吸ってたんですね。」
「まあね。」
早山先生は、それを聞いてにやっと笑った。
「直人先生も、結構ワルですね。」
「なんだよ。それ。」
僕が笑うと、早山先生は、
「口止め料として、一本下さい。」
そう言って、机の上のタバコに手を伸ばした。
「早山先生、タバコ吸うんですか?」
そんなイメージがなかったので、少し驚いた。
「普段は、あんまり吸わないんですけどね…。」
「何かあったんですか?」
僕が聞くと、早山先生は疲れたようにため息をついた。
「生徒にね、告白されたんですよ。」
僕はドキッとした。
なぜか、浅岡の顔が浮かぶ。
「それで、どうしたんですか?」
「もちろん、断ったに決まってるじゃないですか。生徒と恋愛なんて出来ません。」
早山先生は、煙を吐きながらそう断言した。
「どうして、ですか?」
僕は何を聞いてるんだ…。
口にしてから、焦った。
「生徒なんて対象外だからですよ。それに、バレた時になんて言われるか…。」
「そう、ですよね。」
そう返事をしながらも、僕は少しもすっきりしなかった。
「直人先生?大丈夫ですか?さっきからなんか変ですよ。」
早山先生が心配そうに見てくる。
「…大丈夫です。」
そうは言ったが、なんだか息苦しかった。



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