霧が晴れると,そこは墓地だったワケで。
タロットの奇跡。 5
「うわー,すごい。お卒塔婆と十字架が一緒です」
「感心してる場合じゃねぇだろ鏡・・・」
墓地は和洋が織り交ざっていて,十字架に卒塔婆が突き刺さっていたりする。
まさに和と洋のコントラスト。
俺は墓石に彫られている字を見た。
「・・・ローマ字と漢字と英語が混ざってて読みにきーなオイ。
おい骨公。お前これ読めんの?」
死神は,ごりごりと頭蓋骨を掻きながら言った。
「なんでおれに振ります?」
「お前死神じゃん?墓詳しそうじゃん?」
死神は大きなため息をつき,俺を見上げた。
コイツ,骸骨のクセに眼球があるんだから不気味だ。
「あーぁ,こういう先入観が人間をダメにしていくんですねぇ」
「黙れ骨公。犬にでもくわえられてろ。」
「お2人さん。」
間延びした鏡の声がした。
突然だから,俺も死神もビビッてしまった。
「何?鏡」
「これ。見てください」
死神と共に墓石を見る。
指でなぞりつつ,俺は彫ってある文字を読んだ。
「コーITI之HAKA・・・・俺の墓じゃん」
「その隣も見てください」
俺は隣の墓石も,指で文字をたどって読んだ。
「KAGAみ之墓・・・これ,お前の墓じゃん」
「だとしたら,ここはドコだと思います?
今生きている私達が,ここでは死んでいる・・・これがヒントです」
今生きている俺たちが,ここで死んでる・・・・
「あ,分かった。ここ,多分何十年か先の未来の国だろ。」
俺の自信満々の答えに,鏡は首を横に振った。
え,違うのかよ。
「未来の国,はあってます。でも先の年数が違います。」
ってことは?
「ここ,何百年か先をいっています。」