あたしは目の前で手を差し出している愁也を睨みながら、声を荒げた。
「うっさい!!!!デカくて悪ぃーか!!人の名前に文句付けんじゃねーし!!しげるとか意味不なんだっつーの!!」
あ…。
あたしはハッとした。身長とか名前のこと言われんのめっちゃ嫌いだから――ついキレちゃった…。
なんとなく気不味くてうつ向いてしまう。
プッ…と愁也が吹き出すのが聞こえた。
「何がおかしいの?」
「ゴメンゴメン。別におかしくなんかねーよ。ッテカさっきの俺的に誉めたつもりだったんだけどさ。気ィ悪くさせてゴメンな」
誉めた?さっきのが?
…変なヤツ。
思わずあたしも笑ってしまった。
愁也の差し出している手を、握手ではなく、パチンと叩く。
「イィよ。お友達。あたし倖坂水樹。よろしく」
とまぁ あたしと愁也はこうして友達になった。
――あくまでも、友達として…だけど。
あたしがあいつを好きになるのは、もう少し後の話。