―朝だ。
僕は、いつの間に寝ていたんだろう?
はっと辺りを見回す。
変わった事はない。
「やっぱ、昨日のは夢だったんだ。」
やけにリアルだったな…。
あんな、悪そうな奴が天使になって出て来るなんて。
そんな事を考えながら、階段を降りる。
「おはよう。」
母さんが朝食を作ってくれていた。
「…はよ。」
欠伸をしながら答えた時に、僕は有り得ないものを目にした。
「オッス!」
昨日の天使だ。
しかも、人の家で朝食まで食べている。
夢じゃなかったのか?
「何でお前がここにいるんだよ!」
僕は思わず叫んだ。
「朝から、うるせぇな。」
答えになってない。
呆然と立っていると、母さんが僕の分の朝食を運びながら言った。
「昨日、あんたが連れて来たんでしょう。世良君が一人暮しで心配だから、一緒に住ませてくれって。」
「はい?」
そんな事を言った覚えはカケラもない。
セラの方を向くと、不敵に口の端で笑った。
…コイツ何をやったんだ?
「ほら、さっさと朝ご飯食べちゃいなさい。世良君に置いてかれるわよ。」
置いてかれる?どこに?
そう思った所で気がついた。
「何でお前がうちの学校の制服着てるんだよ!?」
そう言うと、母さんが呆れた顔で言った。
「まだ寝ぼけてるの?あなた達同じ学校でしょ。」
「…。」
開いた口が塞がらないとはこの事だ。
セラに聞きたい事は山ほどあったが、これ以上何を言っても僕が変な奴にされるだけだろうと思ったので、とりあえず朝食を食べた。