しばらく静寂が続いた。春香は、相手が返事をしないからイラついて、青年に食ってかかった。
「なんか、言いや!黙っとっても、電話代がかかるだけやねんからちゃんと話しいや!どうせ、あんたのことやから、あたしらの家のこと知ってんねやろ!もしもし、聞いてんの?」
ここまで一気に言った春香は、相手が何か言うまで待つことにした。その間も、息子の様子を心配そうに見ていた。
青年は、やっと喋った。通話口から青年の声が聞こえて来た。
「あなたの言うとおり、拓也君がそうなることも判っていましたし、あなたの家もどこにあるかを知っています。今から、そちらにお伺い致します。では、数分後に」
一方的に電話が切られたので、春香は舌打ちをした。
春香は、拓也の額に触れてみた。すると、ぷくっとした突起物があった。それは、こぶではなく骨がこんな形をしているのだ。春香は、息子の額から手をはなし、愕然とした。拓也は、何者?あたしと龍太さんの子どもの拓也が人間じゃない?
「ありえへん…。拓也は、人間の子どもや。そうに決まってる」
悲痛な思いが込められた独り言を呟いた。それを、一人の青年が聞いていた。
青年は、春香の肩に手を置いた。春香はその手を払いのけた。続