「すいませんでした」
俺はそいつを連れてひとまず店を出た
女の子はずっとうつむいてる
ん〜どうしよっか…
「…」
女の子を横目で眺めながら考える
ずっとうつむいてる
色々考えてたら
何だか少し笑えた
「ふっ…」
「?」
女の子は不思議そうに俺を見た
俺は止めようにも
何故か笑ってしまう
「ははっ
ごめんごめん笑」
「…」
「俺もよぉあんなんしてたからさ」
「?」
びっくりしたように
デカイ目をさらに
大きくさせて
俺を見上げる
「でもお前よりタチ悪いで
商店街とかに並んでる店のもん
普通に食い歩きしててん」
「えっ…」
「ツレとやけどな
めっちゃ怒られたで笑
見つかったら店の前でずっと正座や」
「…」
「もっとひどいのが魚屋や!
店のオヤジにカツオで
どつかれんねん」
一瞬2人の間に沈黙が流れた
…やりすぎたか?
魚屋でつまみぐいなんかできるわけない
めっちゃ嘘やし…
「…」
「?」
俺は肩を震わせてる女の子の方に目をやった
笑ってた
偽りもない純粋な笑顔
「あははっお兄ちゃん面白いね!」
変な感じ
つられて笑ってまう
俺はよく笑うコイツを見て
安心と同時に
可愛いと思った
多分そう思ったのは
俺に昔妹がいたから
めっちゃチビの時に
数ヶ月だけの兄弟
それ以来会ってない
いや会われへんくなった
俺が学校に行ってる間に
車で買い物に出てて
皆事故で死んだって
ばあちゃんに聞かされた
それから俺はばあちゃん家に預けられた
その頃からやったか…
何かが狂ってしまった
俺は多分この時コイツと
今はおらん妹を重ねて見てた
最近じゃ忘れかけてた家族の存在を
この純粋な笑顔を見て
確かな確信になったから