世の中は決して思い通りに動いてくれない。まさにその通りだと思わない?
あたしは今からそれを実感することになるの・・・
まさかこの選択が、あたしの人生を大きく変えるなんて
[ん?!]
ヤバい、大阪弁男がこっち見てる
怖いんですけど
[な、なんすか?]
なんすかって何だよあたし、喧嘩売っちゃったし
しかも変わった髪型してるよね
真っ黒の髪を頭の後ろらへんでひとまとめにして、ボロボロの長い布キレ頭に巻いてて・・・気取ったサングラスしてんの
[何ガンたれとんねん。シバくぞ]
シバくって!!!
明らかヤンキーじゃんって思いながらもそいつから目が離せない
そしたらそいつは思い出したみたいに言った
[あぁ!!お前野球部はいりたいんか!?]
あぁ、ビックリした。あたしはシバかれるかと思った
安心してほっとしてたら
[はよゆえや、女でも関係ないで]
[入りますよ]
あたしはムカつく気持ちをそのまま言葉に表してしまった
でも大阪弁男は怒らず、逆に笑ってあたしを人ごみ(たぶん野球部に入りたい人ね)に連れてった
[よっしゃ!!ようけ揃ったとこで自己紹介してもらうで、右から言っていけ]
あたしは列の真ん中ぐらいに並ばされ、その言葉を聞いてすぐに一番左を見た
[えーっ、と。一年D組佐藤 銀太!!守備位置レフト!!]
なんか田舎っぽい奴だった、都会を知らない田舎ものみたいな・・・
[ふーん。じゃあ次]
大阪弁男は軽く流し、次を指名する。ここからは女子37人の大アピール大会なので省略
そして次は・・・・
[石川、石川 靖
守備位置 キャッチャー]
聞き覚えのある声がする。なんか嫌な予感も・・・・
あたしはゆっくり声のする方に身を乗り出す なんとそいつは
[げっ!!電車の奴!!!]
そう、そいつは石川 靖。朝、あたしが電車で会った奴だった
一番逢いたくなかった奴に遭遇した
やっぱり世の中。そううまいこといかないのね・・・ιι