「ここ…どこだ…」少年は真っ暗な闇の中にいた。限りなく続く黒の世界に突然一筋の光が差し込んだ。 「なんだ…あの光…」 しかしその光でさえもだんだんと小さくなっていく。 「おい…待てよ…待ってくれ…」 少年は必死にその光を追いかけた。 「…夢?」 少年は闇の世界から突然現実の世界に引き戻された。 「光司、また同じ夢か」メガネをかけた少年が無表情で問いかけた。 「…なぁ亮…いつからこんな真っ黒になったんだ俺は…」 光司はどこか遠くを見つめている。 「……薬、1日3錠だ」 亮は光司の問いに答えず薬を渡した。 「今日は学校には行かないほうがいい。無理すると次は本当に壊れるぞ。」 光司は遠くを見つめたまま首を横に振った。 「行く。学校に行くと体があったかくなるんだ。それがまた心地いいんだよ…なんでだろうな。」 光司はそう言うとベッドから降りて学校に行く準備を始めた。