まるで見せかけだけの人形のように
苦しさも寂しさも
感じなければ
痛さも辛さもない
望んでいた
そんな血の通わないような心を
しょうもない心を
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「ましろ?」
「うん♪」
「へ〜…珍しい名前…
名字みたいやな」
雨が上がった
さっきまでの
土砂降りが嘘のように晴天
俺はとりあえずこのチビを連れて
コンビニから1番近い公園で
ベンチに座りながら
買ったもんを食ってた
それにしても
違和感がある
俺は聞く事にした
「1個聞いやしな」
「へぇ〜」モグモグ
とりあえず食いもんに夢中やん
「…お前そんな腹減ってるん??」
「うん……昨日から水だけ」
「は?」
「…お母さん結構前から体弱くて
ずっと入院してるから」
「…」
「だから向こう(横浜)でお父さんと二人で暮らしてたんだけど
仕事大変そうだし
だからお母さんに
会いに来たの」
「…何で?」
「ましろがちょっとでも
いなかったらお父さんも楽でしょ?
それにお母さんにも
会いたかったし!」
「…そっか」
「お金は勝手に持ち出しちゃったんだけどね;
でも片道しか持ってきてなくて…」
「んで?あえたん?」
「…ううん.
えと…
大阪に入院してるって事しかしらなかったの忘れてた」
チビは間抜け面で
笑った
「…お前ね…」
俺は大きくため息を着いた
その瞬間ハッとした
「ココにいつ着いたん?!」
「えっ…
昨日の夜かな…」
「あほ!お前今までどこおってん!!」
「わ…わかんない…
とりあえず歩き回って雨宿りしてたし」
「あほ!そこまで計画性ないやつ
初めて見たわ!
普通に危ないやろ!!」
「ごっ…ごめんなさいっ…」
チビは俺の声にびっくりしてシュンとしながら言った
「…!」
また…泣きそうな顔
あほや俺…
何でもっと優しくしたらんのかな
一番怖かったんはコイツやん…
俺は俯くましろの頭をポンポンと撫でた
「…ごめんな」
コイツの気持ちを考えてみたら
俺の胸は針が刺さったようにツキンとした
携帯が鳴る…
出る気にはなれなかった
今コイツの事で頭いっぱいや…