俺は泣いたことがない。
悲しいといは思えるのに涙は絶対にこぼれないんだ。
だから彼女が死んだ時でさえ泣けなかった。
俺は彼女のことを心から愛していた。本気で結婚したいとも思っていた。
だから死んだ時悲しかった。辛かった。
でも、涙はでなかったんだ。
自分を責めた。酒に溺れた。何にもやるきにならず毎日ひらすら彼女のことを考えていた。
彼女の名前を毎晩叫んだ。
酒ばかり飲んでた俺は、やつれ、もはや死にかけていた。それでも涙はでなかった。
そんなあるまさかの訪問者が来た。
「ピンポーン、ピンポーン、」
インターホンが鳴っている。しばらくするとドアを開いた。
「なんで?鍵は閉めてたはずだ」
そして俺は目を疑った。
そこに死んだはずの彼女がいたから。
唖然としている俺に彼女は言った。
「ただいま」
あの日の笑顔がそこにあった。