君に送る言葉?

深山暁  2007-01-16投稿
閲覧数[261] 良い投票[0] 悪い投票[0]

自分の気持ちを自覚してから、一週間が経った。
特になんの進展もなく、浅岡との距離も相変わらず教師と生徒のまま。

でも、僕はこのままでもかまわない。

そう思っていた。

告白なんて、出来ない。

この気持ちを伝えたら、浅岡はきっと困るだろう。
ずるい言い方かもしれないけど、困らせるだけの告白なんてしたくない。

それが、僕の正直な気持ちだった。

…なのに。

―朝。
いつもと同じように、仕事へ行く準備をする。
そろそろ出ようと、僕は玄関に向かった。
その時、珍しく家の電話に留守電が入っている事に気がついた。
「誰だろう?」
再生ボタンを押す。
ピーっという電子音のあと、音声が流れた。

「―隆だけど。」

その声を聞いた途端、僕の心臓がドクッと大きく跳ねた。

…隆?
なんで?

僕の混乱をよそにメッセージは進む。
「…お前と、話がしたい。いつでもいいから連絡してほしい。」
メッセージはそれだけで切れた。
しかし、僕は混乱した頭のまま、しばらく立ち尽くしていた。

今更なんのつもりだろう。
言い訳でもするつもりだろうか。
それとも、謝罪だろうか。
どちらにしても、聞きたくなかった。

とりあえず落ち着こうと、震える指でタバコを吸った。
深く一回、呼吸をする。
そしたら、頭の方も少しすっきりしてきた。

―時計は、もう遅刻ギリギリの時間を指していた。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 深山暁 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ