「久しぶりね、ティナちゃん」
「こんにちは」
ベティーおばさんはにこやかな表情で迎えてくれた。若干しわのある笑顔が何とも言えなく愛敬がある。
「今日はどうしたの?新鮮な野菜が入ったんだけど、食べてかない?」
「あ、遠慮しときます。母からの預かりものを届けに来ただけなんで」
そう言うと、ティナは抱えていた紙袋をベティーおばさんに手渡した。
「あら。これ前に頼んでたハーブのボディソープじゃない」
初耳だ。仕事ばかりで本業のハーブ園なんてほったらかしになっているとばかり思っていた。
「いつもお世話になっちゃって悪いわね」
「いいえ」
「あ、そうだ!」
何を考えたのか、ベティーおばさんは急にエプロンの下のポケットに手をつっこみ、ガサゴソしはじめた。
「はい、お小遣い」
「え……?」
「今日は収穫祭なのに、部屋に閉じこもってるなんてつまらないじゃないの」
「でも……」
「遠慮なんていらないわ。はい!」
ベティーおばさんはなかば強引にティナの手に紙幣を三枚握らせた。
「それじゃあ私は店に戻らせて頂くわね。ちゃんと楽しんでいくのよ」
「え、はぁ……」
ティナはどうしようもなく、その場に立ちつくした。