ナイト・オン・ドラグーン【51】話『永遠の別れ』

Milk  2007-01-21投稿
閲覧数[560] 良い投票[0] 悪い投票[0]

『すまない…兄さんが愚かだった…』
そう言って獄炎の守護者スウェンは亡き妹、リオを抱きしめたまま息途絶えた。

『っ…はぁはぁ…』
アインは茫然とその光景を目に焼き付けた。
最後の最後にスウェンは兄としての自覚を確信したのだと、アインは悟った。

剣を鞘に納める。
白い死に顔の二人に歩み寄った。

運命によって引き裂かれた兄妹。
兄は記憶を失い、獄炎の守護者として生きた。

妹は哀しみの傷を負いながらもひたすら兄を信じた。
『リオ…よかったな…君の兄さんはもうどこにもいかない。』
アインはリオの顔を見つめた。
安らかな顔で眠っている。
声を掛ければ起きそうだった。
だが、もうリオはいない。静けさだけが漂う。

拳が震えた。
自分は守られた。
本来ならば、自分が死んでいた。
しかし、リオが自分の盾になった。

『俺っ…リオを守るって…守るって言ったのにっ』

自分の力のなさにいらついた。
結局、自分は守られた。

こんな悲劇を生み出す黒幕はわかっている。

世界崩壊を防ぐために封印の塔などと偽り、造った。
封印騎士団。

彼等のやっていることは徹底した弾圧。
世界の頂点に立とうとしている横暴さ。

不意に忌み嫌う封印騎士団長ジークが浮かんだ。

『…許さない…封印騎士っ』
アインは怒りにうち震えた。
背後で燃えていた獄炎の鍵も消え去っていた。

塔が崩れ落ちるのも時間の問題だ。

スウェンとリオをもう一度見た。
さようなら…リオと、呟きアインは走った。
確かな足取りで。
出口へ向かう。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 Milk 」さんの小説

もっと見る

ファンタジーの新着小説

もっと見る

[PR]
☆激カワでダイエット☆
!2800円で美脚に!


▲ページトップ