本物を見た
その中に偽物も見た
静かに遠ざかっていくように見えるそれは
少し目を離すとこちらに踏み込んでくる
気を反らし、見放すことを許さないように
私もまた、宙に手を伸ばしてもがいている
飛ぶ鳥が大きく見え
地を歩く人が小さく見える
後悔は恨みとなって積もり
崩壊を望んで重くのしかかる
自己の現れは霧のように霧散してはくれず
言葉の連なりは潰していく
これは誰の詩なのか
果たして詩なのか
それすらも見定めることができずにいる。