正直、そんな家族と一緒にすごしたくなかった。
家族と居るとすごく寂しくなるから。
一年で一番つらい里帰。年を越して陽気な人達の中、私は部屋の隅でただ静かに静かに…。
でも、結局いつも言う通りにおばあちゃんの家に行ってしまう。そして、今年も…。
「よし、みんな乗ったな。」
パパが運転席でシートベルトをつけながら言った。
「ええ、大丈夫よ。」
彼女は今日もいい母親を演じている。
私は、一番後ろのシートに一人で座った。
「よし、じゃ行くぞ」
昼下がり。今年も同じようにおばあちゃんの家に向かうはず…だった。