「ジョージ?」
「ん?」
俺は腕で目の上を覆い、寝ようとしていた。
「なんで20ドルで泊まれるって言ったの?」
背中が痛くて、寝返りをうつ。
「サラが“ここいくらで泊まれるの?”って聞いたから、俺はここに20ドルで泊まってるからそう答えた。」
「…意地悪な答え方。なんでジョージは20ドルで泊まれるの?」
サラは少しあきれているようだ。
「管理人に貸しがあった。だから20ドル。」
「そう。」
今度は、俺から質問した。「なんでこんなところに泊まろうなんて思ったんだ。」
返事が返ってこなかった。腕をよけて、サラの方を見た。サラは、静かに天井を見て寝ていた。
触れて欲しくない話だったらしい。
「なんでもない。今の話はなしだ…」
ハクシュッッ!!
くしゃみが出た。さすがに、何もかけるものがないまま寝ていると肌寒い。
枕にした洗濯物の中からバスタオルを一枚取りだし、体にかけた。
「大丈夫?」
サラが心配気な声で聞いてきた。
「ぃや、どうだろう。」
正直な答えだった。12月下旬このまま寝たら、風邪くらいはひくだろう。
「タオルケットくらいないの?」
サラは体を起こして聞いてきた。
「ない。」