あなたはあなた

gen  2007-01-24投稿
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 まるで私はひとりの女とともに気持ちを共有しているかのようだった
 どういうことかといえば
 彼女が嬉しかったら私は嬉しくなってしまう
 彼女が哀しかったら私は哀しくなってしまう
 そういうこともあるのかもしれない
 だからそばにいてくれたらと願った 
 いつだってそこにいてくれることを望んでいた
 だけどどうだろう
 そんなに上手くはいかないもの
 すべてを失ってみてはじめて
 大切なことについて振り返ることができるのかもしれない
 ただあなたの存在があって
 そして思いや想いだけがあって
 一緒にいた時のことだけが脳裏へとふたたび浮かんでくる
 あの時の感情はどこへいった
 けっして忘れることなんて出来やしないのに
 しだいにうっすらと
 受け取ったはずの感覚だけは薄れていく
 そうして懐かしさだけが残っていって
 ゆっくりと私の中で沈み続けていく
 そこにはやさしさがあって
 やさしさがあって
 ただやさしさだけがあった
 だけど私はひどかった
 醜かった
 そしてぶれていた ずれていた
 もしかしたらぼけていたのかもしれない
 いつまでもそこにいてくれたらと願った
 それはまるであなたのファンのように気がすむまでそうしていられればと望んでいた
 それと同時にまた
 そのすべてを独り占めしたいと求めだしてしまう
 ふたつの思いや想いが生まれていって
 しだいに苦しくなってきてしまう
 内の中で張り裂けていくかのような感じだった
 いつだって言葉はあとからついてきて
 苦しみの理由なんてその時には知ることもできない
 そうして時が過ぎ去っていってやはり
 その時その場所でのこと
 ただ 存在
 なにひとつ変わりはしないのだということを思い知らされる
 私は何かを ただ大切にし過ぎていただけなのかもしれない




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