「30日」
私はソファの横に備え付けられた冷蔵庫に近づき、あけてみた。
小さめの冷蔵庫の中をのぞきみると、無造作にビールが何缶か入っているだけだった。
それ以外は何もない。
ジョージがこちらを見ていた。
「腹減った?」
「…ぅうん…。でも…買い物行かない?どこか大きなショッピングモールみたいなとこに。」
ジョージがこちらに歩いてきた。そして、横から冷蔵庫の中をなぞきいた。
「そうだな。何もないし。」
そう言うと、はおっていたワイシャツをソファの背にかけた。昨日、私が使ったバスタオルの上に重なった。
洗濯物の間からブラックのセーターを取り出し、着替えた。
「ちょっと待って。用意するから。」
スポーツバックにかけより、洗面道具や化粧品の入ったポーチを取り出した。
「洗面台借りるね。」
「あぁ。」
洗面台と言ってもシャワールームの隣にあるとても質素な物だ。
顔や手を洗うだけ、と言う感じだ。
なるべく急いで、用意したつもりだった。
全て終わった時、ジョージはロングの細身のジャケットを着たまま、ベットの端でテレビを見ていた。
「ごめん。」
バックにポーチを戻した。