ふと、自分のジャケットがない事に気づいた。
まだ向こうの部屋にあるんだ…。
「私ちょっと――。」
振り向くと、ジョージにジャケットを手渡された。確かに、私のジャケットだった。
「…ありがとう。」
「行くか。」
ジョージは立ち上がり、テレビを消した。そして、そのままドアに向かった。
私も渡されたジャケットを素早くはおり、ジョージの後に続いた。
MOTELから離れ、道路沿いを数分歩くとバスの停留所があった。
昨日、適当に言った物が本当にあったので少し驚いた。
“ウィレッチ橋前”と言う乗り場だった。客は私達二人しかいなかった。
意外と早くバスは来た。
プシューーーーッッ
扉が自動で開いた。
私は、気の良さそうなバスの運転手に挨拶して、奥の方に乗り込んだ。
車内にもやはり、私達以外誰も乗ってなかった。
私は右側の二人がけ用のシートに座った。
ジョージは通路を挟んで、私の左側にある一人がけ用のシートに座った。
私は、空いた座席の一人分左により、ジョージに話しかけた。
「ショッピングモールがある町までどのくらいかかるの?」
「…約…一時間くらい。」