未だに額が痛む次の日の朝。
「さっ。出発しましょう!」
なぜだか元気一杯なフロンに続いて俺も下山の道を歩く。
「ていうかここはどこの山なんだよ?」
結構今更な質問をする俺。
「ここはバク山といって表の筑波山ですね」
「てことはここは茨城ってわけか……。まずどこまで行くんだ?」
「まず東都へ向かいあなたのガーディアン申請を済ましてから西へ向かいます」
「……ガーディアン申請って何?」
「はい。一馬さんが滞在しやすいようにとりあえず裏での地位を得てもらおうと思いまして。神の護衛役みたいなものです」
「お前の言うことは分かるけどそんな簡単になれるもんなの?」
「だから一馬さんには基本だけでも道技を体得してもらいたいと思いまして……」
そこでフロンは申し訳なさそうな顔をする。
「あっ……」
俺は昨日の事を思い出す。そうか、そういうことだったのか。
「ごめん。俺、あの時はそんな風に全然考えなくて……」
全部俺の為だったとは……。
「いえ。いいんです。私も改めるべき部分はありました」
フロンは優しい笑顔でそう言ってくれた。
「……なんつうか。……ありがとな」
俺が照れ隠しにそっぽを向きながらそう言うと、フロンは相変わらず優しい声で、
「どういたしまして」
と言ってくれた。