『27歳、人生初の一目惚れ(自覚なし)』
顔は全く好みじゃない。背は164センチくらい?背は私も低いから別に気にしないけど、オシャレでもないし、つまり私のタイプではないのに…。
私の目は真樹くんを追ってばかり。時折、目が合うときはパッとそらしてしまったり。これがいわゆる、世間でいう一目惚れとかいうものなのだろうか?時計は日付変わって1時を指していた。
「そろそろ二次会に行こうか。」
紺のスーツを着た男が声をかけると全員一致し、会計を済まして私たちはお店を後にした。
「ジュンちゃんとみやちゃんはまだ大丈夫なの?」
紺のスーツを着た男、洋介とみんなが呼んでいる男が話しかけてきた。
「私はそろそろ。みやは行きなよ。」
どうやらジュンは元カレの所まで行くらしい。ジュンがこの時間に引き上げる時はいつもそうだ。
「よし!みやちゃんは行こうか!」
洋介は私の手を取り、みんなと歩き始めた。後ろを振り返るとジュンが手を降っている。そして私にメールを送ってきた。
『ごめんね。丈のところへ行きます。』
やっぱり…。でもジュンが行きたいのなら…。
「みやちゃん、帰りたかった?」
洋介が私の顔色をうかがいながら声をかけた。
「私はまだ大丈夫…」
全部言い終わらないうちに、すぐ後ろにいた真樹が口を挟んだ。
「大丈夫だって。この子、俺たちよりしっかりしてるじゃん。」
「そうだよね。お酒強いんだねぇ。」
私の声など全く聞かず、洋介と真樹は話ながら歩いて行く。
その先は怪しいネオンの店内だった。