「双子かぁ〜」
「はい…ですが右の兄は主人と共に交通事故で去年亡くなりました。左の順一も原因不明の奇病に冒されあと三ヶ月の命なんです。この子の命を助けて下さい…」
そんな相談を受けた占い師は動揺した。しかし、母親は真剣な表情でそう訴え続けた。「なぜうちの子達だけこんな目に会うの!出来るなら変わってあげたいっ!」
泣きながらそう訴える母親の言葉を聞いた占い師はふと言った。「あなたが代わりに死んでもいいなら打つ手はあるよ」「本当ですか?」「これは純命樹という植物の種。人の命を吹いながら成長し、たったひとつ小さな実をつける。その実はどんな病にも効くといわれている。でも育てた人は命を吸いとられて死んでしまう。三ヶ月で実がつくとは思うけど育てるのは大変な手間だよ」
占い師の言葉に母親は疑う暇はない、と言い放ち、種を片手に家路についた。その後、占い師に言われた通り日当たりの良い庭に種をまき、常に土を湿らせ、ただただ成長するのを祈り続けた。順一のお見舞いに行く時も常に考えているのは種のことだけだった。
「お母さん…もう帰っちゃうの?」
「ごめんね。大事な用があるの…」
そんな態度に医者や看護婦は薄情な親だと良心を疑った。