ありえない光景。ありえない現実。これは夢?これは現実。日常を覆した出来事は今や記憶にない。記憶にから消された事実。今は思い出す事も無い。アセルスは笑った。笑った。悲しく。 ありえない出来事が起こった時には、ありえない出来事がつづくもの。背後の影に気付いた時にはもう遅かった。背中から突き刺さる長剣。噴き出す血が足元に咲く白い薔薇を深紅に染めるはずだった。 染めたのは紫色の血 自分の意識が途切れる寸前、声が聞こえた・・・ 「血は紫か。」 信じられない現実に私は・・・ 私は目が覚めた。背中に突き刺さったハズの傷はなく、見えるのは紫色に染まった白い薔薇。 「おい、女。来い、我らが君が呼んでいる」 私の髪と同じく緑、いや深緑に近い色、を持つ男が目の前に立っていた。茫然と立つ私に男は不愉快そうな顔をしながら、 「おい、女、聞こえなかったのか。立て、妖魔の君が呼んでいる。」 男は私に言った。私は立った。この事実を確かめるために・・・