「ただいま〜」
「あら修平、今日も遅いわね。部活もしてないのになにしてるの?」
「なにって、ただ友達と喋べってただけだよ」
そういうと母さんはものすごい笑顔で
「あらそう!それならいいわ!手洗ってきなさい、すぐご飯よ」
「わかった」
母さんの笑顔の理由はすぐわかる。
俺は中学の頃はまるで友達と遊んだりせず、いつもまっすぐ家に帰っていたからだ。
……中学の頃は毎日が地獄だった。
とりわけ成績のよかった俺は最初頃はみんなに勉強を教えたりで頼られていたが、ある事件を境にいっきにいじめられるようになった。
目を閉じるとすーと中学の記憶がもどってきた……
「おっす修平!」
いきなり背中をどんっとたたかれバランスを崩した。
「ってな〜その挨拶いい加減やめろよ祐司!」
「あっははワリィワリィ!まあ俺とお前は幼稚園からの親友だろ?多少無礼は文句ないだろ?」
「ふざけんな」」
俺は拳をグーにして祐司を追い掛けわました。
「まてぇ」
このお調子者の名前は土方祐司。幼稚園から中学までずっと一緒で、家族ぐるみでよく遊んだりするいわゆる“親友”だ。
こいつとは妙に話しが合い。話していて全然疲れない、多分祐司のことを嫌ってるやつはいないだろう。こいつがサッカーを始めたらみんながサッカーをはじめる。
祐司はなにかみんなを引き寄せる“花”みたいなものをもっているクラス中心人物だ。
それにくらべて俺はアウトドア派の祐司とはちがってインドア派。
祐司はスポーツが得意で俺は勉強が得意。
なにからなにまで対象的だった。多分そんな自分とまったく違う生き物に俺は惹かれたんだと思う。
「遅刻するぞ!走れ祐司」
「俺が走しったら修平追いつけないじゃんペース合わせてやるよ」
「なに!?ペース配分頭にいれればマラソンなんて楽なんだよ」
「じゃあ勝負するか?」
祐司はなにかと勝負が好きだった。
「望むところだ」
俺もなにかと勝負が好きだった。
「よーいどん」
多分勝負好きってとこだけが唯一の共通点だったんだろう……
だがこうゆう勝負は絶対に俺がまけることは決まっていた。
ペース配分は完璧。
ただ祐司の無駄の多い走り方なら皆が着いてくる。俺の完璧な走り方では誰も着いて来ない。
やっぱり今回も俺の負けだった。