裏通りに入ると、ﾏﾅは一直線に酒場の店に入った。
情報を得るのなら人が集まる場所が効率がいいと踏んだのだろうとｱｲﾝは思った。
店の中に入ったと同時に酒の匂いがした。
客が大勢いて、その真ん中を突っ切って歩く。
当然ながらも、周囲の視線を感じる。
野次も飛んできた。
『青髪の男を探しています』
ﾏﾅは店主らしき男にそう言うとその手に金貨を握らせた。
店主は静かに受け取るとズボンにしまい込んだ。
『青髪の男？あぁ〜あいつなら裏路地の広場でよく見掛けるよ。』
ありがとう、とﾏﾅが答えた。
『しかし、あんたらもあんな物騒な男になんのようだ？』その店主はﾏﾅとｱｲﾝを不審に見て、なにかを思い出すような表情をしている。
『ん…待てよ…？あんたらの顔をどっかでみたような…』
店主がそう言ったと同時にﾏﾅは踵を返し、ｱｲﾝの手を引いた。
『ﾏﾅ？』
ｱｲﾝは半場引きずられるように店を出た。
『どうしたんだ？』
『あの店に私たちの手配書がありました。常識はずれの金額で』
『手配書…？』
ｱｲﾝは店の中をくまなく見ていたが、手配書らしきものはなかった。
が、ﾏﾅはそれに気付き、店を出たのだという。
『走って、広場まで行きましょう』
ﾏﾅはｱｲﾝの手首を掴むと全力で走り出した。
背後で追い掛けてきているような足音がする。
『やっぱり気付かれましたか…賞金稼ぎの者たちが追って来ています』
『今の俺たちは賞金首ってわけか…』
やがて、はるか後方で大勢の足音が響いてきた。
確実にｱｲﾝたちを追って来ている。
広場に出た。
しかし、出たと同時に待ち構えていたのは賞金稼ぎの男達。
（挟まれた！？）
『へへへ…お尋ね者のｱｲﾝとﾏﾅだな？』
一人の男が言った。
その手に持っているのは斧。
よくみると全員が全員、それぞれの武器を持っていた。
『ここから消えなさい、あなたたちに構ってる暇はないわ』
ﾏﾅが一喝する。
すでに後ろには暴漢たちが到着していた。
『ヒヒヒ…恨みはねぇが死んでもらうぜぇ！』
『卑怯な奴らめ！』
そう言ってｱｲﾝが剣に手をかけた時だった。
『たった二人を大勢で囲むなんてな〜アホかてめぇら』
聞き覚えのある懐かしい声。
[303] 
[0] 
[0]
