食器やガラスの破片が散乱したリビングに降りる。
オカシイ、親が起きてこない。
これだけの騒音だ、目覚めるに決まっている。
それに、恐らく親の部屋もオレの部屋やリビングと同じ状態だろう。
急に不安になったオレは親の部屋へ急いだ。
廊下の突き当たりにあるその部屋のドアノブに手を伸ばそうとしたその瞬間。
ヒュンッという風を切る音がしたかと思うと、オレは自分の体を見上げていた。
崩れ落ちるオレの体。
血が吹き出すかつてオレの首が繋がっていた部分。
そうだ。 首を切られた。
真っ黒い人影が闇の中に見えたかと思うとオレの意識は徐々に薄れていった。
翌日
『一家惨殺事件』
『今日未明、市役所勤務の坂東正太郎さん(48)と妻の坂東芳江さん(40)と長男の坂東亮介さん(17)の遺体が発見されました。 遺体は腕や足などが切断されており、損傷も激しい模様です。 室内はどの部屋も荒らされていますが、ただの強盗殺人とは考えにくく警察は付近の住民に注意を呼びかけています。尚、長男の亮介さんの頭部のみが未だにみつかっていません。』