『道場、極道院』
荒々しくも達筆にそう書かれた巨大な看板が俺の顔を硬直させる。
「何……ここ?」
てっきり首都の方に直行すると思ってた俺。しかしフロンは途中で道を換え、神奈川の方に来ていた(こっちでは神奈川はイクナギというらしいが)。
「一馬さんにはこちらの道場で手っ取り早く道技の基礎を身につけていただきたいと思います」
力強い口調で言うフロン。しかし言われた俺は不安で仕方がない。
「この道場の師範の方とは私知り合いでして。いわゆるコネというやつを駆使してみました♪」
言うが早いかフロンはずかずかと道場の中に入っていく。
慌てて後を追う俺。
「こんにちわ〜!!誰かいませんか〜?」
フロンが中に向かってそう呼び掛けると、一人の若い柔道で着るような道着を着た男が奥から現れた。
「これはこれはフロン様。お久しぶりでございます」
若い男はその場にひざまづき、フロンに丁寧な挨拶を述べた。
「うん。久しぶり。師範は居る?」
フロンは男の挨拶に軽く答え、目的を簡潔に伝えた。
「はっ、ただいま」
男はそう言うとさっと奥に消えていった。
そして、程なくして師範らしき男が現れた。
「……え?」
身長が3メートルを遥かに超えていそうな大男が。