さとちゃん 5

ハルカ  2007-01-30投稿
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「にぃは悪いことは、悪いって教えてくれてるの…ってママが言ってた。だからにぃと口をきかないとか、そんなのはダメって」
なんて微笑ましい喧嘩だ。ウチの姉妹喧嘩なんて、相手の存在消去から始まる。教育基本方針の真逆をいくサバイバルだ。
「じゃあ、さとちゃんはお兄さんを怒ったりしないの?間違いを言われたら、腹立たない?」
つい、真面目な質問をしてしまった。
「立つ。だから、にぃをぶったときもあるよ。私は悪くないときもあるもん」
さとちゃんはそう言って地面を蹴った。
ブランコがゆらゆらと揺れる。少しだけ優しい風が私に届いた。
大人の理屈と子供の理屈は違う。お兄さんの指摘は、子供の世界ではまだ説明のつかないことも多かろう。「でもね、仲良しじゃないのは大変でしょ。にぃがずっと怒ってたらヤだな、とか思う方が、仲良しよりもずっとずっと疲れるの」
私は驚いてさとちゃんを見た。
さとちゃんはブランコをこぐのをやめて、子供独特の真っすぐな視線を私に向ける。
「ホントはにぃがどっか行っちゃうのは嫌。だから、あんた達は嫌い」
…改めて言わずともわかっとりますがな。
「でも、にぃが困るのはもっと嫌なの」
…ん?

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