キ―ンコ―ン…
「あ〜っやっと終わったあああ〜!!!」
HRの終わりを告げる
チャイムの音と同時に響くハスキーなかん高い声
「和也うるさい…」
隣で寝ていた遠矢が
まだ頭は伏せたまま
寝起きの声で呟く
「おい!起きろ遠矢!!」
「あぁ?うざいの〜
何やねん」
和也は遠矢の両肩を無理やり揺する
「流時ん家!行くぞ〜♪」
「何でや…」
「バイトの話したろ〜思って
んでアイツ絶対何かある!
今日様子変やったもん!」
「どうちゃうかってん」
「女やな!」
「は?」
「女と修羅場や!」
何を根拠にか分からないが
和也は自信満々に
目をキラキラさせている
「お友達の不幸
喜ばないであげて下さい」
「いやいや!
俺は流時を思って!
アイツがハッキリ女できたら
リナちゃんも諦めるやん?」
「あ。お前ほんまに本気やったんや」
「当たり前や!もう開き直る!
好きだ!!」
「俺に告らないで」
いつものあほな漫才をしながら
和也は嫌がる遠矢を連れて
流時の家へ向かった
―\r
「にしても流時ん家久々に行くな〜
駅どっちやっけ?」
「…」
「…?どしたん?遠矢聞―てる?」
「…和也
見んかった事にしよう
思ったけど…
あれ…」
「?」
遠矢が渋々指差す方向を目で追った
ラブホから出てきたばかりと言うような
男女を遠矢が指していた
「…リナちゃん…?」
そこにいたのは紛れもなくリナだった
制服姿のリナ
そして中年のリーマンっぽい男
「…あれどうなん?」
「…」
「どう見ても援交ちゃう?」
無心に響く遠矢の声
「…え」
「おい!クソジジイ!!」
「ちょっ!待て和也!」
遠矢の抵抗も虚しく
和也は走り出した