最初に困惑。
次に納得。
そして、にっこり。
ころころ表情を変える可愛いさとちゃん。
…と思ったら、私の存在にはたと気付いて、途端に仏頂面になった。
前言撤回。可愛くない。
もう、照れ屋さんなんだから、といいセリフは、生憎ガキ…いやいや、子供には使わない。恋人に使うと決めているのだ。…恋人、いないけど。
「ま、淋しくなったら、私のとこにおいでよ」
「嫌」
ホント、可愛くねぇなぁ、おい!
「いいじゃん、お互い兄姉取られた者同士でさ」
「…そっか。あんたのお姉ちゃんがにぃとケッコンするんだ…」
うつむいて呟く、小さなさとちゃん。
「そりゃそうよ。結婚って一人じゃできないんだよ?だから私たち、家を追い出されてんじゃない。わかってる?」
「わかってるよ!」
「まぁ、さとちゃんはお兄さんが大好きだから、離れて暮らす、なんて無理かもね」
「無理くないもん!」
顔を上げて噛み付かんばかりの少女。からかいすぎたかな?
そのとき。
「佳菜子さん、美里」
「にぃ!」
あっという間の破顔一笑でさとちゃんがブランコを飛び降りる。
そして、近づいてきたお兄さんの足にガバリと抱きついた。