「私が当道場師範ドウセンである」
道場内の広間で大男の師範に名乗られている俺。
なんつーか、迫力が違いすぎる。
「え、えーと。工藤一馬です……」
完全に見上げながら挨拶をする。頭の下げ具合が分からねぇよ。
「フロン殿の話によれば貴殿は当道場で道技を習いたいとのこと。しからば早速こちらの服に着替えていただきたい」
そう言って師範は道着のようなそれでいて一般の服のようななんとも形容しがたい服を取り出した。
「あの……。これは?」
俺が服を手に取り師範に聞くと、師範はこう説明してくれた。
「それは旅道着と申してな。旅をする戦士の為の服じゃ。遠慮はいらぬ。着てみよ」
「は、はぁ……」
俺は言われるがまま旅道着に袖を通す。なるほど動きやすい上にファッションとしても十分に通用する服ってわけだ。
「うむ。大きさはちょうど良いみたいだな」
そういうと師範は立ち上がった。
なるほど。この道場の天井が高いのはこの人の為なのね。
「まずは工藤殿の技力を計らせていただく」
「技力……ですか?」
「うむ。技力とは道技を使うために必要な力でな、裏におる人間は誰しも少なからず技力を有しておる」