だけど1人しぶとい奴がいた。
中学校から一緒の康彦だ。
どれだけ突き放してもしぶとい康彦に耐え兼ねて、あたしは学校中を逃げ回っていた。
入学して半年くらい過ぎたある日の昼休み。
いつものようにみんなでお弁当を食べていると『舞!康彦また探してる!逃げろ!』
同じクラスの理恵が教えてくれた。
せっかく楽しく話をしてたのに!
あたしはうんざり(-_-#)しながら走って廊下に出た。
追ってくる康彦。
逃げるあたし。
もうこんな毎日は嫌だ…と思っていた時、目の前に同じクラスの健君がいた。
何を思ったか、あたしはとっさに
『彼氏のフリしてもらっていいですか?!』
と健君の腕をつかんで言った。
健君はスゴくビックリして
『えっ!えっ?!』
とオロオロしていた。
それもそのはず。
話した事ないもん。
康彦があたしに追い付いてきた。
あたしは健君の後ろに隠れ、『あたし彼氏できたの!ねっ!健ちゃん!』
『う、うん』
健君はあたしの言葉に驚きながらも話を合わせてくれた。
康彦はとまどい『まじ…?』
『まじっ!だからバイバイ!』
あたしが手を振りながら言う。
肩をガックリ落として引き返す康彦。
ちょっと可哀相な事したかな…。
…それよりこの状況を説明しなくちゃ!
健君ポカ〜ンとあたしを見てる!
『あ…あの…ありがとう!ごめんなさい…』
『いいけど…大丈夫なの?』
『あっ!うん!もう大丈夫!ホントありがとう。』
あたしはお礼をそこそこに友達のいる所へ戻った。
これをきっかけに、健君と話す機会が多くなった。
健君は見た目に優しい性格が現われてて、すごく話しやすい。
そして康彦に追われて健君に助けを求めた訳を話した。
『大変だな。あれで終わればいいけど』
『大丈夫大丈夫!あたしのとこにはもう来ないっしょ。だってもう2日なにもないもん。』
『ならいんだけど…』
なんて話をしていた矢先の事だった。