着いた場所は私達のたまり場になっている海岸だった。
二人とも黙ったまま波の音だけが響いている。沈黙を破ったのは私の方だった。
「なあ...。付き合う話何やけど...。」
「やっぱりまだ早かったか??」
「ほうやなくて私もよう分からんけど、マサの事好きとか分からんけど、付き合いたいかな...って。」
「ほれって好きなんちゃうん??」
まさは笑いながら言った。私も笑った。何だろう、何かすごく新鮮な感じがした。マサといると気持ちが落ち着く。『これが恋?』人を好きになるという事がよく分からなかったこの頃の私。今思えば、ここからが本当の恋だったのかもしれない。
しばらく海を見ていると、カズから『帰ろう』とポケベルが鳴った。
「もう帰るんか...。早いな。」
寂しそうに言う彼に黙ってうなずいた。
「あとちょっとだけ。」
彼は私の手をとり、波際まで歩いた。私の足を気遣いながら歩く彼にずっと一緒にいたい、帰ってほしくないと思った。彼のあたたかい手を握りしめ、離れる寂しさを痛感していた。
「美咲、日曜デートするか??ていうても、歩き回るんはアカンから...。うちくるか??」
「うん!!行く!!」
一瞬声が高くなった自分に気づき恥ずかしくなった。可愛い女と思われるのはなぜか嫌だった。
彼等も帰り、由梨恵と二人になった。私は由梨恵に今の気持ちを全部聞いてもらった。いっぱいいっぱいでうまく話せたかどうか分からないが、黙って私の話を聞いてくれた。
「美咲、自分には素直になるんが一番やで!!ありのままマサに見せたらいいやん!!可愛い女でもエエやん!!わがままでもエエと思うよ。」