親は親だけど、親もまた人であり男であり、女なのだ。ということを娘である子である私は忘れている時間が多かった。 人は死に行く生き物であり、私も親も皆も忘れて一日を無駄に過ごしてしまったりする。 私は父が長くないと知らされた時から、父を見ているだけで涙が出そうになる。 寝顔をみて、上着をズボンの中にしまって、でもえらそうで、頭の後ろが痛くなるほどに、涙をこらえたのは初めてだ。こらえなきゃいけない涙がこぼれた時には、父はきっといないのだろう。
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