今シンと向かい合ったら、きっと泣いてしまう――
いつもなら授業中以外はずっと準備室か職員室にいるんだけど、今日は無理だな。
どっちもシンが来そうだし、特に放課後の一時を共に過ごした準備室は……今はあまり居たくない。
幸い教師だけあってシンの時間割は把握できる。
今までは、少しでも顔が見たくてシンが教室移動で通る廊下をチェックしたりしてた。
でもこれからは逆に避けなきゃいけなぃんだなぁ〜………
気を抜けば溢れてくる涙を必死にこらえ、私は次の教室へと向かった。
そぅして、無事シンと会うことのないまま1日が終わりかけた―――でも、神様は意地悪だ。
「あ、先生。」
「はぃ?」
同じ英語教師の加川先生だ。
肩に掛けたバックを下ろして向き合うと、分厚い紙の束を渡された。
「??」
「昨日の抜き打ちテスト。今日中に採点しましょうね。」
「えっ!!」
あ〜忘れてた……ってか今日は……
「あの〜家でやってきてもいいですか……?」
恐る恐る尋ねる。
でも加川先生は仕事を家に持ち込むことが嫌いな人で、関係ないのに人にまでその主義を押し付けてくんだ。