「生来の技力は多少の個人差はあるものの鍛練次第でいくらでも技力は伸ばすことができる!」
師範の熱の籠もった解説に適当に相づちを打ちながら聞く俺。
「場所を移す。ここでは何かと危ないのでな」
師範は広間を出て外へ向かった。
「ここで工藤殿の技力を計る」
「は、はぁ……」
何だろうここは。弓道場のような場所だが。
「まずはこれを付けられるがよろしい」
そう言って師範は俺に赤いリストバンドを二つ差し出した。
「これは……?」
俺が聞くと、師範は簡潔にこう説明してくれた。
「それは技力放出補助装置といって技力の体外放出を手伝ってくれる物じゃ」
「へぇ……」
俺は二つを手首に着ける。
「ではあの的に向かい拳砲を撃ってみるのだ」
師範は数十メートル先にある的を指差しながら言う。
「あのぉ……。どうやって撃つんすか?」
「んん?何、簡単じゃ。撃ちだす方の拳に力を溜める要領じゃ。ただそれだけでよい」
師範は動作を交えながら説明してくれる。
(拳に力を込める……)
俺は見よう見真似で左拳に力を込め、
「はっ……!」
精一杯のストレートを放つ。
グォンッ……!
俺は驚きで動けなかった。確かに、俺の拳から光の弾が飛び出していったのが見えたから。