『ある××、、、』
風が強い、、アスファルトに散らばる砂ボコリが薄目にしていても容赦なく飛込んでくる。
曇り空は日を遮り、草木はこれでもかとざわめく、、。
お風呂入りたいな、、。
しかしそれどころではなさそうだ。
同じ色の服を着た集団がワラワラ家へ押し掛けているのだ、、。
その異様な光景に驚き、 吠えるのも忘れ。ただみていることしか出来なかった、、。
数時間後、、その集団は去っていく。
何人かは涙を流しているようだった、、なんの集い?
一番最後に「ノリ」と母親が家から出てきた、知ってる顔に安堵し私はシッポを振る。
ノリ も哭いたのか、、目を腫らし、それでも私を一撫でしてくれる、、。
母親の方はと言うと、ヤツレ過ぎて別人のようだ。余りの恐怖さゆえ、唸ってしまった、、。
遅めのごはんを貰い、お腹もふくれたので。散歩に連れてけと催促をした。
「ノリ」は ヤレヤレと、、。重い腰をあげ、私のわがままに付き合ってくれた。
相変わらず風は吹いているが、先程よりは落ち着き遠くの方では日が射すのも見えた、、。
いつもの道、いつもの所へマーキング。
しかしいつもと違うことが一つ、、。
今日は「ノリ」の父親がいないのだ、、いつもは二人と一匹でこの散歩道を通るのに。
「ノリ」をみると、いつの間にか泣いていた、、。
「パパ、、いなくなっちゃったんだ。」
突然。彼女はうずくまり、泣きながら私を抱き寄せる。 彼女の想いは痛いほどに伝わってきた、、私はソッと頬を舐め、慰めることしか出来なかった。
何気無く通り過ぎる人間達、チラ見するだけで誰も彼女を助けようともしない、、。
そんな心の狭さに苛立つ私、、。
帰ろっか、、。
彼女は鼻をすすり、笑顔で私に言った。
帰り道、、何か「ノリ」にしてあげられることはないか?
足りない頭で考えていると、、一人人間とすれ違う。
「いっちょこ、、×××」
どうやら鼻唄を歌ってるらしい、特にそのときは気にすることなく通りすぎ家路へ還った、、。