「好きって言葉……簡単に使わないで…。」
赤木さんが浮かぶから………。
「赤木は好きだよ。」
心の声が聞こえたみたいなタイミングで、シンが言った。
「明るいしおもしろいし、一緒にいると楽しいから好き。」
そんなの…聞きたくない……。
とめどなく溢れる涙が、シンの制服の胸元を濡らしていく。
「でも、赤木に対する“好き”とレイコに対する“好き”はまったく違う。」
ふわっ
突然戒めがとけた。
立ちすくむ私の頬を、暖かい手のひらが包み込む。
「英語教師ならわかるだろ?“ラブ”と“ライク”の違い。」
優しくて人懐っこい笑顔―――信じていいの?
――信じたい――
「ちゃんと…言って…?言葉で伝えて………。」
シンが笑った。
はにかむように一瞬下を向いて、また目を合わす。
まっすぐな瞳で、柔らかい笑顔で、少しかすれた声で―――\r
「愛してる。」
また、抱き締められる。
「っーか、いつから不安だった?俺、そんなに余裕あるように見えた?」
「……見えたよ。」
「いつも必死だったんだけど。」
耳元で軽い嘆息。