「だっ・・・大丈夫?」
陽太の腕に猫の引っかき傷が見える。
「あぁ・・・うん」
「!」
絵里、後ずさりをする。
「あっ?どぉした?」
絵里がみたのは、陽太の腕からにじみ出る”血”だった。
「血・・・・出てるよ・・・・!」
「あ〜ぁ・・・おまえ、血ダメだったんだっけか・・・・」
絵里、ハンカチを陽太に渡す。
「あっ・・・サンキュ!」
「うっ・・・うん」
陽太、ハンカチで血をぬぐう。
「ってかさ、おまえの母ちゃん看護婦だろ?」
「そぉだけど・・・それが何?」
「看護婦の娘が血を怖がってちゃダメだろ?」
絵里、ムッとした様子で言い返す。
「看護婦の娘だからって、血を怖がっちゃダメなんて決まりはないよ!」
「だって、血を怖がってたら、おまえは人を助けられないし・・――」 「そんなのこっちの知ったことじゃない!」
「じゃあ、もし、おまえの大切な人が血流してたら、助けないのか?」
「・・・・・・」
「ま、今のおまえには無理だろうけどな」
陽太、絵里を措いて歩き出す。
「そんなこと・・・出来るわけないじゃん・・・・。今の私には人一人
救えないんだから・・・・・・」