異界の住人?

朝倉令  2007-02-05投稿
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「ん?僕の顔に
何かついてる?」


「ああ、いかにも女好きそうな垂れ目がついてる。
いつも通りにな」


「…お前に尋ねてないだろう?青竜」


「プッ、…本当ね」


「愛ちゃんまでそんな…。それじゃあ、君の犬はこのままにしとく?」


「えっ?」



白虎が袖口から取り出したお札をヒラヒラさせて、意地悪な顔で言う。


良く見ると、愛犬フレディの姿が見た事もない文字と共にプリントされているではないか。



「あ〜〜っ!!フレディ、どうして…」

「あれれ?」



“ポンッ!”という間抜けな音の後、お札の中からフレディが飛び出してきた。


どうやら名前を呼んだせいで術が解けたようだ。



「クゥー…ン」

「よしよし、…もう恐がらなくていいわよ」



私はプリンのようにプルプル震えっ放しのフレディを、キュッと抱き締めてあげた。



「あたし達、…もう帰りたいんだけど。
どうやったらここを
出られる訳?」


「俺が送ろう。
こやつでは不届きな行いに及びそうゆえ」


「信用ないなぁ…。
ちょっと知り合いに似てたからさあ、ついさぁ‥」

「人の胸触っといて、信用も何もないわよ!」


「ふむ、全くだ」


「うむむ……」






私とフレディは、涼やかな瞳のイケメン〈青竜〉に現世まで送ってもらう事にした。



「多少冷えるが、…まぁ、危険はない」


「え?どういう…」



問い掛けた時“ザッパーン”と私たちの周囲から波が押し寄せてきたのだ!



(危険はないって、…)



「あ、あたし泳げないのよ、きゃあああっ!!」


「キャイン、キャイン!」


「それ、腰掛けだ」



青竜がパチンッ!と指を鳴らすと、水がソファのようにふわりと体を支え、急激に始まった加速の衝撃を吸収していった。



「う〜、びっくりしたぁ。…濡れないのね、何故?」


「フッ、‥美女に風邪をひかせる訳にはいかん」


「あら、…お上手ね♪」



青竜のクールな横顔に、一瞬笑顔が浮かんだ。





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