ずっと好きな人がいたんだ。
伝える勇気もなかった。
違う。伝えなかったんだね。
だって答えはわかっているもの。
あたなが想うのはただ一人だけだから。
傷つくのが嫌でね、逃げたんだ。
弱虫だよね。卑怯で…弱虫で…泣き虫で…逃げ足は早いんだよね。
今日…彼は仕事で地元を離れる。
簡単に会える距離じゃない。
もう会うことも無いかもしれない。
「じゃあな。」
別れは以外とあっさりしてた。特別何かを話したﾜｹでもない。
歩いていく彼の背中は遠かった。手をのばしても届きそうになかった。
叫びたかったよ。
「好き」
叫びたかった。
声が出なかった。かわりに涙が出た。
今さら気づいた。
あたしは…あなたに手をのばしたことすらなかったね。
遅いね…もう追いつこうとしてもあなたは遠すぎる。
涙で霞んであなたの背中すら見えない。
「ごめんなさい。」
こんなにも後悔している自分に謝った。
離れていくあなたを恨んだことを謝った。
謝ることしか出来なかった。
どうか…どうか…
もう届かないけれど、言わせて。
もう聞いてくれる人も居ないけど、今だけ言葉にさせて。
「元気でね。大好きだよ。」
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