亜裕実と聡、三人で学食を食べに食堂へ来た。
聡『で、どうだよ?琴海ちゃんとは仲良くなれそうか?』
空いているを探して歩いていると、聡が話しかけてきた。
亜裕実『………』
赤実『なんで友達にならなきゃならないんだよ』
正直転校生なんかにゃ興味はない。
聡『あの子なら赤実のこと知らないから、仲良くなれると思ったんだぜ?』
亜裕実『そういうものなの?』
恐る恐る亜裕実が口を挟んだ。
聡『だってこいつ、友達いないじゃん』
亜裕実『それは、そうかも知れないけど…』
赤実『別に無理して作るもんじゃないだろ?』
俺は嘆息しながら肩をすくめて見せた。
聡『そんな態度だから、友達だできないんだろ』
赤実『だから、無理して作るもんじゃないだろ』
亜裕実『うんうんっ、無理して友達を作る必要はないよね』
何故か、亜裕実が安心していた。
聡『そんな、亜裕実ちゃんまで』
亜裕実『あ、えと…誰かと仲良くなるのは赤実くんの自由だし、それが嫌いな人だったら、なお更だよ』
聡『…それは、そうだとさ』
おぉ!亜裕実が聡を論破した!
赤実『よく言った、亜裕実』
頭を撫でてやる。
亜裕実『えへへっ』
聡『…暗い奴』
赤実『…っ…雑談は終わりだ』
学食に向かうのは、俺達だけじゃない。
学園の食堂とは、全校生徒が入り乱れる戦場なのだ。
赤実『ちっ…出遅れたぶん損したか』
混雑する学食を見て、毒づく。
普通に並んで買うなんて規則、誰も守っちゃいない。
聡『よっしゃ、行くぞ!』
バカが特攻していく。
赤実『亜裕実、席二つ頼んだ』
亜裕実『聡くんのは席は必要ないんだね!了解!』
聡はどうせ、帰ってはこないだろう。
俺は今日の戦利品、日替わり定食を口に運ぶ。
亜裕実『おいしいなぁ』
俺が一緒に買って来た日替わり定食を食べ、感想を漏らした。
聡『やっぱうどんは日本の心だよなぁ』
運よく学食を買えた聡が、うどんを啜る。
赤実『聡、なんか言いたいことないか?』
聡『別にない…気にしないでくれ』
聞かれたくなかった事を問われた様だ。
聡『足、疲れないか?』
聡『…ほっといてくれ』
切なそうな顔になる。
赤実『素直に席くださいって言えよ』