「実は現職の自衛官が退艦してからこの艦の通信記録を調べてみたんだ」
「そんなコトして…軍規に違反してるじゃないかっ」
「もうレコア自衛軍は存在してないから気にするコトはない、そんなコトより調べてみたら分かったコトがあるんだ」
「なにが分かったんだよ?」
「無関係である筈の地球政府との通信記録が残っていた…つまりこの艦は地球政府から帝国の偵察を頼まれていたコトが判明した」
「冗談だろ!?第一この艦はレコア政府所属の艦だぜ、おかしいだろ」
「そこで、俺は地球政府と交渉してみようと思うんだ」
「何を?」
「地球政府にこの艦の購入費用と維持費用を払ってもらうのを条件にこの地球政府との密約を公開しないってコトをね」
「できるのか…?そんなコトが?」
「やるしかないだろぉ、この状況じゃ…」
「そうだな…みんなはこの島崎の案に賛成でいいか?」
候補生たちは決意を固めたようであった。
「よし、じゃあ交渉には島崎と…
「あたしがやるよ」
「そうか、じゃあ交渉には島崎と奈良井があたってくれ」
「分かった。じゃあ通信室に行って交渉してくるよ」
「任せたゼ、俺たちは各自の持ち場について待機するか」
候補生たちは各自の持ち場に戻るべく食堂から出て行った。
惑星国家連邦所属…戦艦ピサロ
「艦長、レコア所属の護衛艦ゲンジの武装解除が終了していませんが…」
「バルス報道官殿の命令だ…まだ士官候補生どもが艦内に残っている」
「退艦させないのですか?」
「知らん、政治家の考えは分からんからな」
「では、現状を維持で宜しいですか?」
「そうだな…放って置け」
「了解しました」
副艦長は敬礼をしてピサロのブリッジから退室した。
『フンッ、バルスの奴め、何を考えているかは知らんが思い通りにいくとは限らないぜ』
ピサロの艦長リーマン司令は心底バルス報道官が気に入らなかった、軍人でもないくせにやたらと作戦に口を挟む…リーマン司令は昔気質の軍人で軍人というよりは武人という感じの人間で今回の護衛艦アカギの奇襲作戦の実行をためらっていた人物である
「まぁ、ゲンジの士官候補生の動きに期待だな」
続く