「ほぉ。初めてにしてはなかなかのものだ。やるな。おぬし」
師範は俺の肩をばしばし叩きながら言った。
「……」
一方の俺は未だに握られている自分の左拳を見つめていた。
「…………すげぇ」
俺の中から滝のように凄まじい勢いで流れていった力の余韻を全身で感じる俺。
「よし!これから3日間みっちり稽古を付けてやるからな!」
「はい?」
「何じゃ?聞いていないのか?フロン殿から3日間修業をよろしくと言われてな」
「……まじっすか?」
「マジと思われる。うむ」
そんなわけで、俺の3日間の文字通り厳しい修業が幕を開けた。
その間、フロンは何をしていたかというと……。
「見てみて今日はヤマメがたくさん釣れたの♪」
釣りをしてやがりました。
そして……3日後。
「どうもお世話になりました」
師範と仲良くなった数名の門下生に見送られ、俺とフロンは道場を後にしようとしていた。
「うむ。ここで学んだことを忘れず日々精進せよ」
師範の言葉も今回ばかりは含蓄を感じる。
「こいつは餞別だ。受け取ってくれ」
門下生のチャンから袋を手渡される。
「ありがとう。お前らも頑張れよ!」
「じゃあねぇ〜♪」
こうして俺たちは極道院を後にした。