あまりに突然で、身動きすらできずーー
ただただ、唇に広がる甘い快感を味わう。
永遠のようで刹那な時。
やがて軽い音を立てて唇が離れた。
まだ動けない私の唇に指を当て、
「やっぱ俺から言う。」
笑う。
「なんでっ!シンはさっき言ったじゃない!」
「も一度言う。」
「今度は私からよ!」
「俺から!」
「私っ!!」
軽くにらみ合ってから、お互い同時に吹き出した。
「どんなケンカだよ。」
「ほんと!」
「じゃあ一緒に言う?」
「うん!せぇのっ!」
『愛してる―』
微笑み、もう一度口づける。
ほら――
こうやって気持ちと気持ちを重ね合えば、どんな壁だって乗り越えていける。
だから、もっと言って。
もっと触れて。
ずっと私だけを愛してね。