noir cafe vol.10

小椋都  2007-02-08投稿
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『27歳、ついにきてしまった』


家へ帰ると母が居間からすぐに出て来た。

「ちょっと都!あんた27にもなって無断外泊とか平気でしないでちょうだいよ。」

昔から母は私のやること為すことにうるさく言う人だった。一方、父は仕事人間で私に興味はなさそうなので、私は大変に気が楽なのだ。

「心配しなくてもいいよ。今日は仕事ないし。」

私は一つため息をついて自分の部屋へ行こうと階段を上がる。

「近所の人の目もあるし、いくら仕事場が家から離れているからって、子どもを預かる仕事っていうのはね…」

「はいはい。」

背後から聞こえる母の言葉を私は打ち消した。

「ちょっと、すぐに降りてきてよ。」

(まだ何かあるのか…。)

私は面倒くさそうに振り返る。

「何か用事?」

「泉が来るのよ。」

泉は私の2つ下の妹で大学の時から家を出ている。

「別に帰って来るだけでしょ?」

「お客様連れて来るの。」

母のその言葉を聞いた時、嫌な予感がした。
「へぇ。」

私は気のない返事をして部屋へ入った。

「今日は夕食作るの手伝ってね。」
階段の下から母の声がする。

(…泉にまた負けた…。)

私は着替えてソファーに体を預けた。夢のような時間から現実に返されたような気持がした。



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